目  次


2003/04年度(第10期)役員選挙の実施について

理事会により、日本中東学会次期役員(評議員、理事)選挙を03年1−2月に実施することが決まりました。有権者は、2003年1月20日までに2002年度の会費を納入した正会員(退会予定者をのぞく)とします。

前回(第9期)の役員選挙は去る01年2月23日に評議員選挙を開始し、3月26日に新理事が選出されました。今回の役員選挙はこれより約1ヶ月、日程を繰り上げ、2月末までに新理事を選出することを予定しています。繰り上げの理由は、3月末に新理事が決定し、4月に新会長を選出して新旧理事会の引継ぎを行うというこれまでの形では、新年度の事業計画などを立案し、5月の年次総会に諮るための検討・準備期間があまりにも短すぎるためです。とくに、会長と事務局を特定の会員や機関に固定せずに、理事が交替で会務を分掌していくためには、新任期の1月前に役員が決定していることは必須と考えます。なお、前回役員選挙では、有権者を01年度会費を前納した正会員といたしましたが、今回は1月中に選挙を開始することから、02年度の会費の納入者といたします。

2002年12月10日現在の暫定有権者名簿と会費納入記録を本ニューズレターに同封いたします。02年度の会費を未納の方は、同封の振替用紙により1月20日までにお支払いいただけるようお願いいたします。また、暫定有権者名簿と納入記録に異議のある方は、1月15日までに学会事務局にご連絡ください。

選挙管理委員はつぎの方が委嘱されました。

飯塚正人監事、林徹、松本弘、後藤敦子各正会員

<日程>

1月20日(月)役員選挙有権者資格のための2002年度分会費納入最終締切。これに基づいて、最終有権者名簿を作成する。 1月27日(月)評議員選挙のための投票用紙発送。投票用紙を紛失した有権者は2月3日までに選挙管理委員会に連絡すれば再交付を受けることができる。 2月10日(月)投票用紙の受付締切(必着)。 2月13日(木)評議員選挙開票。 2月17日(月)評議員当選者に理事選出のための投票用紙を発送。 2月25日(火)理事選挙受付締切。 2月27日(木)理事選挙開票。 3月中旬新旧合同理事会。新会長・事務局の選出および引継。

<関連する会則と細則>

会則第8条
(1) 会長は理事の中から、互選によって定める。
(2) 評議員は一般会員の中から、正会員の投票により選任する。
(3) 理事は評議員の中から、互選によって定める。但し、理事会は会員の中から特定の任務など必要に応じて理事若干名を追加することができる。
(4) 監事は理事会の推薦をへて、総会において選任する。
細則VII. 役員選挙について
1.理事会指名による4名(監事1名を含む)が選挙管理委員会を構成するものとする。選挙管理委員会は、評議員、理事の選挙を実施・管理するものとする。
2.選挙によって評議員50名以内、理事9名を選出するものとする。
3.同点の場合の選出法は、抽選によるものとする。

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第1回中東学会世界大会(WOCMES)報告

9月8日から13日の6日間、マインツ大学(ドイツ)を会場に、第1回中東学会の世界大会が開催された。主催者の発表によれば、52カ国2000名を越える参加者で、333の研究発表パネルを中心に、特別講演会、映画会、写真展、ブックフェアなどが行われた。

日本中東学会では、「Sufi Saints and Non-Sufi Saints」のパネルを組織するとともに、AJAMESをはじめとする日本の研究機関の出版物を展示・頒布するブースを設営した。前号での速報で記したように、パネルもブースも大盛況で、成功裡に終わった。本パネルの組織運営には、国際交流基金日欧国際会議の助成をいただいた。記して感謝の意を表したい。

また、SSRC(社会科学研究評議会、米国)が企画する世界の中東研究のサーヴェイについての運営会議およびパネルが行われ、加藤博会長ほか、佐藤次高前会長、臼杵陽、三浦徹の両理事が参加した。

以上のような学会としての企画の報告とあわせ、現場の雰囲気を味わっていただけるように、本大会の参加者に印象記を寄稿していただいた。ブースの運営にご協力いただいたこととあわせて、御礼申し上げます。

最新の情報では、11月の北米中東学会(MESA)でWOCMESの今後について討議が行われ、第2回大会(2005年秋ないし06年春)、第3回大会(2008ないし09年)を、中東または欧州で開催することとし、その開催立候補を03年1月まで募ることとなった。(三浦 徹)

---詳細は、以下の各項目をクリックしてください---

Sufi Saints and Non-Sufi Saints: Sacredness, Symbolism and Solidarity (日本中東学会主催、東長靖・赤堀雅幸 組織)

SSRCミーティングに参加して(加藤 博)

WOCMES 印象記

「学会運営の経済学」 加藤 博(一橋大学大学院経済学研究科)

「WOCMESに見るパレスチナにおける「市民社会」の成長」 臼杵 陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター)

「スーフィー・聖者パネルでのコメント」 小松 久男(東京大学大学院人文社会系研究科)

「大船に乗って、大会に」 酒井 啓子(アジア経済研究所)

「Ambitious!」 池田 美佐子(光陵女子短期大学)

「印象的だったイラン映画」 鈴木 均(アジア経済研究所)

「よい刺激」 森高 久美子(大阪外国語大学地域文化学科)

「WOCMESの人口学」 小島 宏(国立社会保障・人口問題研究所)

「初物づくし」 兼川 千春(立教大学大学院社会学研究科博士課程)

「興味あるパネル」 森山 央朗(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)

Sufi Saints and Non-Sufi Saints:
Sacredness, Symbolism and Solidarity

日本中東学会主催、東長靖(京都大学)・赤堀雅幸(上智大学)組織


September 11, 2002.

Session 159 (WED B)
1. Sufi Saints and Non-sufi Saints in the Classical Period of Islam: TONAGA Yasushi, Kyoto University
2. Religious authority and its schemes of saintly piety: Stefan Leder, Martin-Luther-Universitat, Halle
3. A Saint among the Present-Day Tribal People of the Egyptian Desert: Three Different Hagiographic Traditions: AKAHORI Masayuki, Sophia University
4. How to Become a Saint Through Silence: The Case of a Thought-Provoking Individual of the Last Half of the Twentieth Century, in a Small Town of Southern Morocco: Abderrahmane Lakhsassi, Mohammed-V University, Rabat
5. The Sufi Legend of Sultan Ibrahim b. Adham: SATO Tsugitaka, The University of Tokyo
Session 159 (WED C)
6. The Appropriation of Apocalyptic Themes in the Medieval Shadhiliyya Order: Richard McGregor, IFAO, Cairo
7. A Modern Shiite Friend of God: Nuralishah II (1867-1918): Matthijs van den Bos, University of Leiden, Leiden
8. The Madaniyya: A Reconstruction: Aref Ali Nayed, Sheikh Mohammed Centre for Cultural Understanding, Dubai
9. Sufi traditions and Promises of Salvation in the Ottoman Middle East: Murtada al-Zabidi (d.1205/1791) and his collection of turuq: Stefan Reichmuth, Ruhr-Universitat, Bochum
Discussant:
Denis Gril, Universite de Provence-IREMAM, Aix-en-Provence
KOMATSU Hisao, The University of Tokyo

Chair: MIURA Toru, Ochanomizu University

よく晴れた初秋の一日、日本中東学会が組織したセッションが4時間余にわたって開催された。諸学の協働によって、スーフィズムと聖者信仰をめぐり、新たな理解の地平を開こうとするそのセッションは、昨年、イスラーム地域研究プロジェクトが木更津で開催した国際会議でのセッション、 "Sufis and Saints among the People in Muslim Societies" を引き継ぎ、発展させるべく企画されたものである。

折しも9月11日の事件からちょうど1年を経た日であり、同じ時間帯にはこれに関する特別セッションも開催されていたが、予想以上に多くの聴衆が参加し、落ち着いた中にも熱気のある研究の場を作り出すとともに、この分野における日本のプレゼンスを示すことができたのは幸いであった。

WOCMES自体が初めての試みであるためか、会議全体の組織委員会の苦労もひとかたならず、思いもかけない展開に、私たちも一再ならず困惑することがあって、当初、5名程度の小セッションを予定したところが、各国から参加の希望が寄せられ、一時はシンポジウムとして丸一日を費やして開催することを検討するほどとなった。その結果として、当初の目的からすると各発表の内容がひとつの焦点に向かって収斂していく方向性はややうすれたが、セッションの主題に大きな関心が寄せられたことは手応えを感じさせた。

また、前日には "Modern Islam and the Naqshbandi-Mujaddidi Sufi Order"、翌日には "Sufism: Tradition and Reform"という、スーフィズムに着目した中規模のセッションが開催されており、スーフィズム、とくに「原理主義」研究の陰で見逃されがちな近代スーフィズムのありように対する関心の高さが感得された。後者のセッションにおいては、司会者の呼びかけにより3セッション合同の討議の場が設けられ、今回私たちのセッションでの発表をお断りした研究者を含め、スーフィズムや聖者信仰に関心を持つ学者との国際的ネットワーク形成が現実味を帯びてきたのが大きな収穫であった。

(赤堀雅幸・東長 靖)

SSRCミーティングに参加して

加藤 博(一橋大学大学院経済学研究科)


ニューヨークに本部を持つ社会科学研究評議会Social Science Research Council ( SSRC )が,2001年9月11日の「同時多発テロ」以後,世界規模での中東研究関係情報のデータベース化を図るプロジェクトを開始したこと,その端緒として米国、フランス、ロシア、日本の4ヶ国を取り上げ、MESA(北米中東学会)で採用している様式に準じてアンケート調査を実施することになったこと、日本については日本中東学会理事会がこの要請に協力していく旨、決定したことは、先のニューズレターで報告した通りです。

ところで、そのSSRCは、WOCMES開催に合わせて、大会前日に、先の4ヶ国における「中東研究者および研究機関の調査」の実施状況の中間報告についての会議と、大会2日目に、“Surveying Middle East Studies :Towards a Global Perspective” と題され、当該データベース・プロジェクトの意図と概要を紹介し、宣伝する特別セッションを企画しました。前者には、加藤、佐藤次高、三浦徹が、後者には、加藤、臼杵陽がそれぞれ参加し、報告を行ないました。後者のセッションでの発表は4ヶ国における中東研究の歴史、その個人ならびに組織レベルでの現状の概略を紹介するものでしたので、ここでの報告は前者のデータベース・プロジェクトの中間報告会議に限らせてもらいますと、そこでの報告は、4ヶ国の中東研究事情を端的に反映するものでした。

米国はMESAの会員データをもとに、1992年と2002年の変化について詳細な統計分析を提出しました。フランスは、研究者ベースでの情報のデータベース化はすでに、フランス方式によってではあるが完了しており、調査は研究機関レベルで計画されており、現在は、調査票の作成を完成させ、発送する段階にあると、報告しました。ロシアについては、MESAの方式をロシアの事情にあわせて修正した、個人と組織を対象とする調査票を作成し、発送したが、いまだ少数の回答しかなく、より多くの回答が得られることを期待している段階であると、報告しました。

さて、わが日本についてですが、日本の中東研究事情の最大の特徴として、中心となる研究・教育センターがなく、学会というアソーシエイションあるいはイスラーム地域研究プロジェクトのような巨大プロジェクトを核とした、個人ベースで研究が行なわれていること、それゆえに、中東研究関係情報も、個人ベースで収集するのが効率的であると判断されるところから、MESA方式に準じたアンケート調査を学会員に実施したが、現在、会員数620名のうち、回答は150名程度で、いまの状態ではそれを統計分析に使うことができない旨報告し、今後、回答率を高め、組織へのアンケート調査も実施することを約束しました。

以上、会議の結論として、4ヶ国がそれぞれの国の事情に応じた方式に従ったものであれ、来年3月までに調査報告を作成することが申し合わされました。誠に苦しい作業を請け負ったものですが、そもそもこの調査は、2002年時点での状況を4カ国で共同調査して比較する、という枠のなかで発足したプロジェクトであり、佐藤次高・加藤の責任で、日本中東学会が協力して行うことでやってきた手前、できるだけのことはしなければなりません。日本中東学会員各位のご協力を切に願い出る次第です。

(加藤 博)

WOCMES印象記
「学会運営の経済学」

加藤 博(一橋大学大学院経済学研究科)


WOCMESの運営式次第については、ほかの方が書かれるであろうから、ここでは、JAMESが設営したブースで各国の中東研究者と接するなかで感じたことを、印象記として述べたい。というよりは、私は大会期間中のほとんどをブースで過ごしたため、大会のセッション運営について語ることはできない。といっても、別に強制されたから、ブースに居続けたというわけではなく、私の知的怠惰を別にすれば、そうすることが楽しかったからである。

ともかく、われわれのブースは異様と思われるほど活気を呈していた。セッションがもたれている時間帯以外は、常に人だかりの状態であった。多くの研究機関のブースもまた開設されていたため、この状況は人目についた。そのため、大会関係者、報道機関、研究機関の図書関係者が意見を求めにくることもあった。この活況の理由は明らかであった。JAMES刊行物の展示と並んで、イスラーム地域研究プロジェクトのワーキングペーパー・シリーズなどが無料で配られ、地域研究企画交流センターやアジア経済研究所の出版物の無料送付の注文が取られたからである。

もちろん、「世界」と名を打ちながらも、実質的にはアメリカを中心とした欧米中心の大会であり、中東学会という組織として、アジアから参加したのは日本だけであったため、日本の中東研究が注目されたということはあったであろう。

しかし、ブースの活況が無料での刊行物配布によってもたらされたことは明らかであった。なんと、ダンボール13箱400キロの刊行物が運びこまれたのである。そして、そのほとんどが掃けた。箱詰め作業は三浦、小松の理事が無償で行い、船便とはいえ、その代金は学会が持った。そして、ブースで客引きをし、接客につとめ、刊行物を配布したのは理事をはじめとした日本人大会参加者であった。そのコストたるや、大変なものである。ボランタリーな組織である学会がそれまでやる必要はあるのか。宣伝効果を勘定に入れても、得られるベネッフィトとに比して、あまりにも高いコストの支払いではないか。

ところで、ブースに数時間でもいると、訪れる客層の特徴にすぐ気づく。欧米からの研究者は、冷やかしはあるものの、数少ない。例外は、イタリアで、多くの、とりわけ若い研究者がブースを訪れた。しかし、なんと言っても、熱心に刊行物を手にしたのは、東欧、ロシア、そしてアジア・アフリカからの研究者であった。とりわけ、東欧からの研究者が目に付いた。これは、イタリアについてもいえることであろうが、大会が東欧に近いドイツで開催されたからでもあろう。ポーランドの学部の学生が、おずおずと「ワーキングペーパーをすべて一部ずつもらってよいですか」と聞くから、「どうぞ、それはまたどうして」と尋ねると、「図書館に入れるから」と答えたのには、ついニコニコしてしまった。

こうした、東欧、ロシア、そしてアジア・アフリカの研究者に刊行物を郵送する費用はどのくらいだろう。また、刊行物の彼らに対する効用は、欧米の研究者に対する効用と比べて、どのくらい高いだろうか。そして、機関レベルでの宣伝効果のことを考えると、刊行物を個々に郵送することと、大会でブースを設営することと、どちらが効果があるだろうか。などなどを考えていると、WOCMESでのブース開設の損得勘定は黒字であったと思われてくる。そして、このことは同時に、日本の中東研究の有力なマーケットがどのへんにあるかをも示唆しているように思われる。

WOCMES印象記
「WOCMESに見るパレスチナにおける「市民社会」の成長」

臼杵 陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター)


今大会においてパレスチナに関係するパネルが相対的に多かったと感じたのは私だけだっただろうか。何故か、と考えてみた。もちろん、パレスチナ・イスラエル紛争の泥沼化という客観的な情勢も影響しているのであろう。しかし、パレスチナからの積極的な参加を見るかぎり、パレスチナでの「市民社会」の成長を考えてしまう。パレスチナのNGO的な研究グループによるセッションが目立っていたからだ。パレスチナ暫定自治開始以来、多くのNGOが立ち上がったが、それが研究面でもあらわれたのだろう。

具体的にあげると、The Question of Jerusalemというパネルは東エルサレムに拠点を置く老舗の研究組織PASSIA(Palestinian Academic Society for the Study of the International Affairs)によって組織された。またラーマッラーのMuwatin (The Palestinian Institute for the Study of Democracy)が Poverty in Palestine and Palestinian DiasporaやDemocratization in Palestine: Shifting Boundaries and Constraints などというセッションに協力していた。さらに事実上、イスラエル国籍をもちイスラエルの大学で教鞭を取るパレスチナ人研究者が組織したMajority and Minority Relations: Jews and Israeli Arabs as a Case in Pointというセッションもあった。Middle East Peace Process やThe Dynamics of Land、 Law and Politics in Historic Palestineは欧米のNGOの研究グループと欧米在住のパレスチナ人との協力で組まれた。

パレスチナ人自身による現代パレスチナ研究の最前線が大学といった研究機関のみならず、NGO的な研究グループによっても担われつつあることは、イスラエルの軍事攻撃の対象となっているパレスチナ自治政府の悲惨な閉塞状況を考えると、「市民社会」的の成長が知的な抵抗の拠点となっているのであろう。頼もしいかぎりだ。しかし、一部の例外を除いて、学会というおおやけの場がパレスチナ・イスラエル間の真のダイアローグの場になりえない厳しい現状も示している。それなりの「共通言語」をもつパレスチナ人とイスラエル人とが共通のパネルを組むだけでいいのか、という疑問も沸いたが、それ以上にGreat Britain and Palestine: New Approach to the History of the British Mandateのように、一見、「多国籍」には見えるが、実際はほとんどイスラエルやユダヤ系の若手研究者や院生だけで組まれたセッションにどんな意義があるのか、やはり首を傾げざるをえなかったというのが率直な感想だった。

WOCMES印象記
「スーフィー・聖者パネルでのコメント」

小松 久男(東京大学大学院人文社会系研究科)


今回の大会については多くの会員からの報告が寄せられると思うので、私の感想を書き連ねても、おそらく重複することが多いだろう。そこで、ここでは日本中東学会が主催したパネル “Sufi Saints and Non-Sufi Saints” で行った私のコメントの要旨を紹介することで報告に代えたい。しかし、一つだけ特記するとすれば、それはやはり日本中東学会が設置したブースの盛況だろう。イスラーム地域研究プロジェクト(1997-2002)の成果を中心に提供された多様な刊行物は、日本における中東・イスラーム研究の現状を世界に紹介する上で、あらためてたしかな役割を果たしたと思う。それにしても、会長自らブースに張り付き、展示物の整理に励む姿は他のどこにも見られなかったことをご報告しておきたい。

Background of this panel: As Prof. Miura introduced in the beginning of this panel, we conducted five-year research project “Islamic Area Studies Project” (IASP) from April 1997 to March 2002. In this project we tried to discover new research themes that are worth to interdisciplinary and comparative studies. Today’s theme “Sufi Saints and Non-Sufi Saints: Sacredness, Symbolism, and Solidarity” is one of these themes that we consider promising for our future studies succeeding the IASP.

Comments on the papers:
(1) In this panel one of the most important issues is how to produce or invent a saint regardless the existence of Islamic elements. We learned various cases of saint production or invention, most vividly presented by Prof. Lakhsassi’s paper “How to become a Saint through Silence.” In this context most important points for our comparative studies may be: first its causes/motives, second the method of authorization of saint concerned, and third meanings or benefits of saint production.

(2) The second important issue is social and political aspects of saints in Muslim societies. As Prof. Leder treated the issue of religious authority in a theoretical scheme, I think these aspects will be very important for our comparative studies. From this point of view I noticed some differences in research trends according to areas such as North Africa, Central Asia and so on. For example, in case of Central Asia the dominant approach is historical studies, which have treated socio-economic and political factors of saints and Sufi orders. In contrast with Central Asia in case of North Africa, it seems that anthropological approach has been dominant. By the way I wonder to see so many saints in North Africa. Why? We suppose two possible answers. First in fact a number of saints have appeared in this region. Second a lot of anthropological studies in North Africa introduced us so many saints.

(3) The third issue to be mentioned is the dynamism of transmission of Sufism and wide networks of Sufi orders, which were well documented by some presentation, especially Prof. Reichmuth’s paper, and another papers read in yesterday’s panel “Modern Islam and the Naqshbandi-Mujadidi Sufi Order.” I suppose that this dynamism and networks have contributed to realize the conception of the Muslim world through many centuries up to now.

In the beginning of my comments I touched on the background of this panel. After listening to today’s presentation, I am sure that the studies of Sufis and saints provide us with fertile ground for our future interdisciplinary and comparative studies. It is needless to say that these studies will contribute to understanding Muslim societies in the past and present.

WOCMES印象記
「大船に乗って、大会に」

酒井 啓子(アジア経済研究所)


大きな階段教室の底で、聴衆席を見上げても誰もいない。司会とコメンテーターに、ねえこれじゃ内輪で向かい合って雑談しながら、報告しましょうよ、と誘いかけるのだが、いやだめだ、と言われて、空っぽの教室に向かって話をする??国際学会での報告、となると必ずこういう悪夢を見る。聴衆が少ないのは会自体の運営のせいであって、本人の報告内容の問題ではないからまだましで、もっと怖いのが報告途中で席を立たれることだ。満員の客が次々と席を立つのを見ながら、ますますぼろが出る。その英語は何だ、とばかりに、理解できないという表情をされるのも辛い。質問が全く出ずに沈黙をもてあますのも居たたまれないし、質問された内容がよくわからないのも悲惨だ。

とまあ、いろいろとトラウマを抱えつつも、とりあえず今回の報告はそうした轍は踏まずにすんだ。一回は笑いを取り、ペーパーや専門知識なしで話を理解させ、パネルの後他の報告者と同じくらいの数の名刺交換希望者が壇上にやってきた。まあ、よしとすべきだろう。

しかし、惨憺たる内容で穴があったら入りたいような結果に終わってしまったとき、日本語を理解する人がひとりもいない時は、辛い。その後のパーティでも孤立無援、パネルで一緒だった人とは顔をあわせられない。悲惨な結果を愚痴るほど、英語はうまくない。そんな過去の経験に比べれば、今回の日本人報告者「集団」は、ありがたいものである。結果が悲惨でも、他の研究者とのコミュニケーションがうまくいかなくても、溜まる場所があるのは心安らぐ。そんなことだから向上心と国際競争力が育たないんだ、と言われもするだろうが、ううむ、これがプチ・ナショナリズムなのだろうか、と少々複雑な気分で帰国した。まずは三浦楼の親爺に感謝、である。

WOCMES印象記
「Ambitious!」

池田 美佐子(光陵女子短期大学)


マインツでの第1回中東学会世界大会は、小雨がぱらつくこともあったが、ほぼ秋の晴天に恵まれ、マインツ大学のゆったりとしたキャンパスで盛大に開催された。主催者側の発表で2千人以上の参加者を集めた初の世界大会ということで、あらゆる分野の中東研究者が世界の各地から一堂に会する学会に参加できたのは貴重な体験であった。実は、マインツに到着するまで、この学会について多少不安に思っていた。発表日時の連絡が遅く、日本を出発するまでウェブ・サイト上で大会の詳細プログラムが確認できないなど、事務局の運営は万全でないようであった。しかし、大会会場に到着して、この学会の規模がいかに大きく、関係者は限られたマンパワーを駆使して、試行錯誤しながらも、同大会を真摯に運営していることがわかった。

もちろん、細部には問題も多くあった。たとえば、私の報告(Land Reform Debates in Late Parliamentary Egypt, 1944-1952)が組まれたパネルは、企画外の個人ペーパーを集めたものであったためか、司会者がおらず、発表者同士が自発的にセッションを進めなければならなかった。また、パネルのタイトルも報告内容とは必ずしも一致するものではなかった。しかし、細かい問題はさておき、2002年にドイツでこのような大会が開催された意義は大きかったと思われる。私が知る大きな中東学会といえば、MESA (北米中東学会)であるが、比較をすると、やはり参加者が文字通り世界各地から参加していたことが言える。ヨーロッパの参加者が大半を占めるというのではなく、中東、アフリカ、アジア、アメリカなどの各地域からかなりの人々が参加していた。また、大会中に昨年9月11日のテロ事件からちょうど1年の日を迎え、関連の特別セッションなどもあったが、たとえば同じような世界大会をこの時期にアメリカで開催しても、はたしてこれだけ多種多様な参加者を集めることができたかは疑問である。これは、アメリカから参加した2、3人の研究者から聞いたコメントである。

最後に、JAMESのブースが大盛況であったことを付け加えたい。これは事務局長の三浦氏の綿密な準備と運営をはじめ、参加者の協力によるものであるが、日本の中東研究をアピールする良い機会であったと思われる。大会主催の日帰りツアーに参加した際、JAMESのブースに立ち寄ったという女性に、日本の中東研究は非常に“ambitious”であることを知ったとの感想をもらった。

WOCMES印象記
「印象的だったイラン映画」

鈴木 均(アジア経済研究所)


中東学会のニューズレターでWOCMESのあることを知り、京都大学の東長氏に電話をかけて概要を伺い、ホームページで調べて参加することに決めた。そもそものきっかけは、昨年の10月末にカイロで参加予定だった国際会議「グローバリゼーションと文明間の対話」が9.11テロの影響で延期され、イランでの2年間の現地調査の結果を海外で発表する機会を求めてのことだった。

WOCMESでの発表は開会初日の開会式直後で、予想外に聴衆が少なかったのは残念であるが、それでもアルジェリアのNaceur女史やトルコのMurat Gul氏など、現代中東の都市問題について同じような関心を持つ何人かの研究者が熱心に耳を傾けて下さったのは有り難かった。

他に私が時間の許す範囲で出席したセッションは、「現代イスラム社会の殉死」、「中東の文化人類学」、イラン研究が中心の「宗教と社会」などであったが、それぞれ活発に議論が交されていた。それらを聴く限り、日本の中東学会等における議論と格段の隔たりがあるようには感じられなかった。

9月11日(!)の夜に催されたWOCMES大賞授与式の席上、E.サイード教授のそれこそ口から火を吐くような記念講演も極めて印象深かった。だがイラン映画ファンとしては、大会期間中小さな階段教室で開催された映画祭でたまたま観たキム・ロンジノット&ズィーバー・ミールホセイニー監督の2本の映画「離婚・イランのかたち」と「家出少女」に勝る感動はなかった、と敢えて記しておきたい。

最後に、このように大規模な国際会議を成功裏に終了させた実行委員各位および委員長のマイヤー教授をはじめ、グーテンベルク(マインツ)大学の関係者とマインツ市民の方々に篤くお礼申し上げる。

WOCMES印象記
「よい刺激」

森高 久美子(大阪外国語大学地域文化学科)


初めて入国するドイツは、イミグレーションでもパスポートは見るだけでハンコを押さない。実にあっけなく投げ返されたパスポートを受け取り、それで入国となった。EU、ヨーロッパはひとつだということを実感させられる。フランクフルトから特急列車で20分ほどの、ライン河に面する小さな町マインツに、中東研究者が1000人規模で集まる。しかし、広大なマインツ大学はその人数の多さを決して感じさせることはなかった。

とにかく第一回のことである。参加手続きやプログラムについても、直前まで不確定な要素があり、様々なセッションについては、登録時に配布されたプログラムで大まかなことを知ることができたが、似たようなテーマのものが同時刻に重なっていたり、簡単なタイトルのみで、実際に出席しても予想した内容とは懸け離れたスピーチであったり、戸惑い不満を覚えることも少なくはなかったことは事実である。

しかし、非アラブのヨーロッパ人の中東研究の手法、視点など興味深い知的啓発があり、また「メンザ」(学生食堂でのランチ)の時間に忌憚ない意見のやりとりをしたり、我々非アラブのアラブ研究について、非常によい刺激になったように思う。説話系のワークショップを立ち上げる計画も出て、帰国してさあ秋の夜長、研究計画をじっくり練っていこうと考えている。

WOCMES印象記
「WOCMESの人口学」

小島 宏(国立社会保障・人口問題研究所)


当初、WOCMESに参加しようと思ったのは、対象分野に人口学が含まれており、「中東の国内人口移動」に関するセッションがあったからである。

全体としてみると、人口関係のセッションは少なく、人口学者の参加も少なかった。しかし、人口と銘打たなくても、たとえば水曜日の朝一番の「アラブ社会における女性」のセッションでは非会員の伊達潤子さん(山口大学)がイエメンの女性の健康について、Population Councilカイロ支部の女性研究員がエジプトの若年女性のコミュニティー参加について報告されたが、いずれも人口の質的な研究の報告であるとも言えよう。最後にイタリア人の人口学者がモロッコの女性の地位と地域開発についてフランス語で報告すると言ったとたん、聴衆で席を立つ方々が続出し、報告者以外では小生くらいしか残らなかったので、下手なフランス語で質問までするはめに陥った。

フランス語の報告が始まると聴衆が消える現象は他のセッションでも見られたが、フランス語が英語とともに会議の公用語の1つであったのに、残念なことである。ジェンダーに関するセッションでも英語圏出身の女性研究者が積極的に発言し、マグレブ出身の女性研究者が苦労しながらフランス語訛の英語で話しているのを見たが、逆のケースは見なかった。参加者が男性中心主義が好ましくないと思っているなら、英語中心主義も好ましくないと感じていないのかを知りたいところである。

しかし、もっと残念なのは中東言語の公式セッションがなかったことであろう。それもあってか、参加者は欧米出身者か中東出身の欧米在住者が圧倒的に多かった。その意味では日本中東学会の会員参加・ブース開設やスーフィズムのセッションは異彩を放っていたように思われる。次回に米国で開催される場合には参加者がもっと北米に偏ることが懸念されるし、マインツのように交通の便が良く、トルコ人人口が多いために居心地が良い都市で開催されることもないのではないかと思われるが、より多くの日本中東学会会員が参加されることを期待したい。

そのほか、食い意地が張っていることもあり、特に印象に残ったのは、懇親会の食事の際の混乱である。しかし、予想外に出たマインツ市提供のアルコール飲料が閉会近くまで残っていたことはありがたかった。また、当然ながら、昼食を含めて用意された食事には豚肉がなかったため、帰りのフランクフルト空港で大きな豚カツを食べてしまった。他にも大会自体や社交行事について運営面での不満はあったが、参加者が2千人近い大会なので大会実行委員会がかなり努力されて成功に導いたと言うべきであり、大いに感謝する次第である。

WOCMES印象記
「初物づくし」

兼川 千春(立教大学大学院社会学研究科博士課程)


「思い切って行って、本当によかった!」当初の不安はどこへやら、これが本大会に参加した最大の感想である。思えば、昨夏、小島宏さんからメールでWOCMESのご案内をいただいたときには、失礼ながら読み流していた。しかし、イエメンのマイノリティ集団を日本の社会学のなかで研究しているというマイノリティな私は、報告しても基本的な質問に終始することに物足りなさを覚え、自分の研究の方向性を定めかねていた。イエメンをフィールドとしている以上、中東研究者からコメントをいただかなくては。そう感じた私は、昨年暮れの締め切り間際、思い切って応募してみたのである。(実は、今年5月に実施された日本中東学会でも報告を希望していたものの、在イエメン日本大使館で調査員として勤務していたため帰国できず、貴重な機会を逸してしまった。ご迷惑をかけてしまった皆様、申し訳ございません。)そんなわけで、中東研究者の前で報告するのも初めてなら、海外の学会で報告するのも初めて、ドイツへ行くのも初めてという初めてづくしのなかで、私の報告がいったいどのように受け止められるのか、朝霧たちこめるマインツ駅にたったひとりで降り立ったときには、不安でいっぱいだったのである。ところが、30名ほどの聴衆の前で私の報告が始まってみれば、皆さん熱心に耳を傾けてくださり、報告後はイエメン研究者はじめ多くの方々からコメントや名刺交換が殺到(のように感じられた)。なにより“Akhdam”と呼ばれるマイノリティ集団への関心の高さに嬉しい悲鳴。そのうえ、JAMESの皆さんとお話させていただく機会を得て、今後の研究の励みになったことは言うまでもありません。

WOCMES印象記
「興味あるパネル」

森山 央朗(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)


本大会の発表のうち私が最も興味を引かれたのは、パネル:Classical Literature の中でLetizia Osti(Universita di Venezia)氏が行った “Fictional Narratives、 Historical Narratives: Persons and Personals in Classical Arabic Biographical Dictionaries”であった。この発表で氏は、人名辞典中の記述を史実と虚構とに判別することが非常に困難であること、その上で虚構性が強い記述をも歴史研究に利用する方法の必要性を指摘した。これは、人名辞典の使用が社会史研究などで盛んな現状に鑑みて、重要な問題提起と言えるだろう。同時に、先行研究や研究プロジェクトにも要領よく言及し、研究情報の提供という面でも有益な発表であった。

この他に文献研究に関しては、Results of Contemporary Research on the Qur’an: the Question of a Historico-Critical Text of the Qur’anWriting History: Case Studies の2つのパネルに参加した。前者では『クルアーン』の語句におけるシリア語の影響など刺激的な指摘が多くなされた。後者の中では、Johan Weststeijn氏の歴史記述において夢の描写が果たす機能に関する発表を興味深く聞いた。また、現在留学中のシリアに関するものとして、Ottoman Bilad al-Sham、 The Urban Space of Zokak el-Blat: Interdisciplinary Fieldwork in a Pericentral Quarter of Beirut、 Lectures croissees d’un monument temoin de l’histoir. La Citadelle de Damas の3つのパネルを聴講した。

なお発表を聞く以外に、日本中東学会のブースにおいて、これまで話す機会の無かった東欧やアフリカ諸国の学生、研究者と言葉を交わすことが出来た。これも、本大会に参加した一つの成果と言えるだろう。

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韓国中東学会第11回年次大会報告

「韓国中東学会第11回年次大会報告」 加藤 博(一橋大学大学院経済学研究科)

「韓国中東学会(KAMES) 第11回年次大会報告」 阿久津 正幸(慶應義塾大学大学院文学研究科)

「日韓の中東学会比較」 臼杵 陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター)

「韓国中東学会11回年次大会報告」

加藤 博(一橋大学大学院経済学研究科)


詳しい報告は、日本からの参加者のひとり、慶応義塾大学大学院の阿久津正幸氏がなしてくれるであろうから、ここでも私は大会運営の印象を述べてみたい。今年度の大会は、数年前に参加したときの大会と比べ、参加者の数においてさびしい気がした。しかし、各セッションでの討論は熱のこもったものであった。その理由は、セッションでの報告者のほとんどがシニアの研究者であるとともに、多くの外国研究者(米国から1名、中東から少なくとも5名)が大会に参加していることであると思われる。この二点は、日本中東学会大会との比較から、とりわけ目に付くことである。

実際、この二点に象徴されるように、日本と韓国の中東学会年次大会運営は、おそらく両国における学会のあり方を反映してであろう、誠に対照的である。上記に二点との関連で言えば、日本の中東学会年次大会は、日本の若い研究者に研究の成果を発表する場であると強く意識されているからである。このいわば、エリート路線と大衆路線の違いは、大会での公式言語に端的に反映されている。つまり、日本が当然のことながら、日本語であるのに対し、韓国は英語なのである。もし日本中東学会年次大会の公式言語を英語にしたら、何人の発表者が集まるであろうか。

韓国の大会を観察して面白いのは、研究者の層は明らかに日本のほうが厚いのに、こと一部の層が担う情報発信の国際化においては韓国のほうが数段、日本の上を言っているかもしれないと思うことである。こうした違いは一長一短で、どちらがよいというものではないが、ひとつ心配なのは、この違いをそのまま放置しておくと、日韓の若手研究者の交流が進まないのではないかと想像されることである。韓国の学会では、若手はほとんど発表しない。と同時に、日本の若手研究者は、大会言語が英語ということもあって、韓国の大会に参加する気がない、というわけである。韓国は近い。旅費も安い。日本から大挙して、若手の日本研究者が韓国の大会に参加し、多くの韓国の若手の研究者を日本の大会に呼ぶ手立てを考えたらどうだろうか。

「韓国中東学会(KAMES) 第11回年次大会報告」

阿久津 正幸(慶應義塾大学大学院文学研究科)


10月11-13日、韓国ソウル市のHankuk Univ. of Foreign Studiesで、国際会議Civilization and Modernization in the Middle Eastが開催された。本学会からは3名の会員が参加した。まず12日に行われたパネル報告の詳細を以下に記す(氏名、所属、タイトルの一部は筆者が略した)。

Panel 1 Middle Eastern Politics and Modernization I
A. Usuki(The Japan Center for Area Studies, Japan): “Modernization and Jews between Europe and Islam”; H. E. Ahmed(HUFS, Sudan): “Modernization and Tajdeed”; Gamal Zahran(Suez Canal Univ., Egypt): “Models of Development in the Arab World”; Hah, B. J.(PUFS): “Civil Society and Democratization in the Middle East”
Panel 2 Middle Eastern Politics and Modernization II
H. Kato(Hitotsubashi Univ., Japan): “Modern Egypt in Nexus: Reconsidering the Modernity in Egypt”; O. Kurkcuoglu(Ankara Univ., Turkey): “Turkey's Role in the New World Order Since Sept. 11th, 2001”; Seo, J. M.(HUFS): “Politicization of Egyptian Religious Establishment”
Panel 3 Middle Eastern Economy and Modernization
A. al-Anqari(King Saudi Univ., S. A.): “Korean-Saudi Economic Relation”; Shim, U. S. (Myongji Univ.): “Arab Boycott & Israel Boycott”; M. Akutsu(Keio Univ., Japan): “Traditional Islamic Relationship between Politics and Religion Seen in the Present Age”
Panel 4. Arabic Language and Literature & Modernization
Kim, J. D.(Myongji Univ.): “A Study on Arabization”; Kong, J. H.(HUFS): “Teaching Arabic Vocabulary in Cultural Context”; Moon, A. H.(HUFS): “The Sacrificial Scapegoat Motif in Modern Arabic Novels”
Panel 5 Middle Eastern Culture and Modernization
F. Vahdat(Harvard Univ., U.S.A.): “Critical Theory and Islamic Encounter with Modernity”; E. Maakaroun (Leb. Univ., Lebanon): “Characteristics of Free Lebanon”; Woo, D. C.(PUFS): “The Prospect for the Settlement of the Cyprus Problem”
Panel 6 Islam and Modernization
D. Suryo(Gadjah Mada Univ., Indonesia): “The Role of Muslim Intellectuals in Indonesia”; Jung, S. R.(HUFS): “The Identity of Islamic Women and Social Status of Saudi Women”; Kim, J. A(HUFS): “Traditional Islamic Society and Women's Identity”

2会場による2パネル同時進行だったため全パネルに参加できなかったので、構成と全体の印象を以下に報告する。各パネルの構成は、3人の報告(45分)、その後5名程度の予め割当てられたKAMES会員からの質疑を中心に討論(45分)が継続された。報告者は要旨かフルペーパーを事前に要求されており、260頁の要旨集が当日配布された。これ以外にハンドアウトを用いた報告者もみられた。扱われた専門分野については、上述のタイトルから分かるように近現代政治史が多く、報告内容を聞いてみると対象地域もエジプトが圧倒的だった。パネル5や6のような文化史的テーマが少なかったという印象を受けた。本会議の使用言語は英語とされており、アラブ圏からの報告者もアラビア語等を用いることはなかった。話は変わるが、一般に韓国の人々のモチベーションとバイタリティの高さは、ワールドカップ・サッカー以来再認識されたのではないかと思うが、そうした評判に違わず、英語の不得手とみえる人からも積極的な質問が出ていたことは印象に残った。

ところで、報告者のなかで大学院生は筆写だけであり、主催KAMESからは若手報告者がいなかった。現在の韓国では、歴史など人文系大学に進学する学生が激減していると話を聞いたことがあるが、こうした影響が現れているのかもしれない。会の運営や海外からの報告者のアテンドに携わっていた大学院に在籍する若手会員と僅かな時間ながら情報交換をすることができたが、アラブ圏に関してはエジプトやヨルダン等への留学経験者が韓国研究者・学生にも次第に増えてきていること、わずか数ヶ月前にも国際大会が開催されたことなど活動の活発さがうかがえた。

最後に、私的な予断になるが、パネル報告翌日にソウル市内を観光する時間を見つけることができた。その際、アラビア語で会話を交わしながら市内を歩く中東系の青年たちの集団を少なからず見かけた。日本と韓国ともに、中東から地理的に遠く離れた同条件であるとはいえ、政治や経済など互いの国の状況の違いから、学会構成員や運営方法にも相違が現れているのではないかという印象を受けて、興味深く感じた。

「日韓の中東学会比較」

臼杵 陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター)


2002年10月11日から13日まで韓国中東学会第11回年次大会に参加した。昨年の韓国中東学会年次大会では中東和平についてのパネルがあり、私自身、参加するつもりであったが、諸般の事情から参加することができなかった。したがって、今回は是非とも、という気持ちが強く、さらに、意味がわからなくともせめてハングルを読むことができればと思い、一夜漬けに近い学習で何とか文字を覚えて韓国入りした。もちろん、まったく役には立たなかったが、これまで読みたいと思っていた韓国関係の書籍は何冊か鞄に忍ばせていった。

同じく日本から参加・報告した加藤、阿久津の両氏からの参加記もあるので、ここでは、二人よりも早く大会前日の10日からソウル入りしていた私が感じた開催前の雰囲気をここでは伝えてみたいと思う。

まず、もっとも印象的だったのは、中東学会のために韓国外国語大学の院生や学生が海外からの招聘客をアテンドしたり、世話を焼いたりするために数多く動員されていることであった。私自身もソウル到着から韓国を離れるまで、何らかのかたちで学生・院生諸君にたいへんお世話になった。この場をかりてお礼を申しあげたい。韓国中東学会事務局がどのようなやりくりをしているのか訊くことはできなかったが、このような来客へのホスピタリティは日本中東学会も大いに見習わなければならないだろう。

大会前の非公式の会食や懇親会の席で中東諸国からの参加者とも意見交換を行なうことができた。アンカラ大学、レバノン大学、エジプトのスエズ運河大学、そしてハーヴァード大学のイラン系アメリカ人研究者などが出席していた。アラブ、イラン、トルコの中東諸国からバランスよく招聘しており、それぞれの招聘者は韓国の中東研究者が留学中にお世話になった研究者であったような印象だった。韓国外国語大学の学生たちを交えて、韓国焼酎や濁酒(マッコリ)を飲み交わしながら、語り合う楽しさも格別であった。中東からの招聘者のアテンドをしていた学生あるいは院生はそれぞれアラビア語、ペルシア語、トルコ語を上手に話していたことも特記しておくべきだろう。

苦言というほどではないが、実はソウルに到着して大会前日の韓国中東学会主催の夕食会まで、プログラムの内容が不明だった。だからといって私を含め中東諸国からの参加者はそのような運営の仕方に苦情を呈するという雰囲気でもなかった。

その夕食会で話した韓国の研究者から感じたことであるが、韓国から中東への留学生は、留学生派遣の初期の段階から中東の大学で学位を取得することを当初から目的としているようであった。韓国外国語大学の研究者は多くは中東諸国の大学で学位を取得しているようだ。

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03年度『日本中東学会年報』(AJAMES)について
−年2回発行になり、19/1号の原稿募集が始まります−

2003年度より『AJAMES』は、新しい編集体制の下で、体裁と内容を一新したものになります。

01年度の学会理事会において、本学会の顔である『AJAMES』の質をより向上させ、魅力的かつ読みやすくするために体裁や編集体制などの改善の提言がありました。また、科研費(研究成果公開促進費「一般欧文誌」)を刊行費に充てていることから、その条件の一つである外国語論文比率を確保するための仕組みも必要になります。

その結果、02年度に入って、理事会でAJAMESの改革案が策定され、5月の総会で報告・承認されたように03年度の『AJAMES』の編集長に理事会の中から長沢が選任されました。そして、10月に新編集委員会を開催し、つぎの点を決定しました。

(1)年報の発行時期の変更とそれに伴う投稿締め切り時期の変更
02年度までは、年度末の3月に刊行していましたが、03年度からは、秋と春に1号ずつ刊行する方式に変更します。それにしたがって、投稿締め切り時期も変更になりますが、03年度第1号(19/1号)については、2003年3月末が原稿提出締め切りになります。 投稿をされるかたは、03年1月15日までに、題目と種類を新編集委員会宛にご連絡ください(外国語論文はもちろん、書評などの小品も歓迎です)。なお、第19/2号の原稿締切は、9月末を予定しています。

(2)特集テーマの募集
03年度からは、上記の投稿原稿に加えて、各号のそれぞれに特集を組み、特定のテーマに関する複数の論文を掲載することを考えています。特集の基本的な趣旨は、日本の中東研究の成果を世界に発信するという点にあります。ぜひ積極的に特集のテーマについてのアイデアを、会員の皆様からお寄せいただければ幸いです(新編集委員会宛)。

→詳しくは、学会HPの投稿規定をご覧下さい。

<新編集委員会連絡先>
113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学東洋文化研究所
西アジア部門室(長沢栄治)
ファックス 03-3815-9565
電子メール nagasawa@ioc.u-tokyo.ac.jp

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会員データの更新調査について

日本中東学会では、入会時に会員の方々の個人データ(所属、専攻、住所、略歴など)を申込書にご記入いただき、学会の運営上必要なデータを電子データとして記録し、変更については、会員からのご連絡をまって訂正する方式をとってきました。しかし、書式(フォーム)自体は17年前の学会設立時のものを使用しており、学会の事務上、使いにくい点がでてきています(専攻や所属先の表現が不揃い、住所が自宅か所属先の一方しか記録されず、移転とともに転居先不明になるなど)。また、近年は、中東研究の関心への高まりから、日本の中東研究を代表して、他団体からの調査依頼があります(例:日本学術会議やSSRCの要請による会員動向統計調査など)。学会として、現会員データを統一した書式で整理したデータベースとして作成しなおすことができれば、今後、学会活動の必要に応じて情報を集計・分析したり、提供したりすることができます。

以上の理由から、学会理事会では、現行会員データを新フォームに更新することを決定し、その照会調査票を本ニューズレターに同封いたします。現行のデータを、便宜上新フォームに読み替えて記入してありますので、適宜訂正を記入くださり、2003年1月15日までにご返送下さるようお願いいたします。返送は、郵送(同封の返信用封筒をご利用ください)、ファックス、電子メールのいずれの方法でも結構です。なお、ご連絡ご返送がない場合には、当面は照会調査票の記載に基づいて運用させていただくことになりますので、ご了承をお願いいたします。

なお、会員データは、今後毎年更新ができるようにする予定です。

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第19回年次大会研究発表応募状況

立命館アジア太平洋大学での第19回年次大会(2003年5月10-11日)の研究発表は、すでに国内34国外5計39本の応募をいただき、5つの会場で研究発表が同時進行で行われます。なお、宿泊(湯布院)や航空券や送迎バスをセットにしたお得な会員割引パックを用意いたしますので、旅行社からの案内をご覧ください。

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事務局より

今号は、重要な記事が掲載されています。編集後記から読み始めた方は、どうか、つぎの記事を、必ずごらんください。

・次期役員選挙の告示→02年度会費を未納の方は1/20までにお支払いください。
・会員名簿のデータ更新→同封の調査票を1/15までにご返送ください。
・新AJAMESについて→19/1号(03年9月刊行)の投稿申込は1/15締切です。

以上の記事をお読みになられた方は、WOCMES、KAMESなどの肩の凝らない参加記をお楽しみください。皆様、よいお年をお迎えください。(三浦 徹)

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日本中東学会事務局
〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
お茶の水女子大学文教育学部
比較歴史学コース三浦研究室内
TEL & FAX :03-5978-5184
Eメール: james@cc.ocha.ac.jp
郵便振替口座:00140-0-161096
銀行口座:三井住友銀行渋谷支店
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