日本中東学会

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特別講演会「パレスチナ・イスラエルの現状を考える」レジュメ

2002.10.30 公開

パレスチナ/イスラエル戦争への視座-シャロンとアラファトの対決か?(臼杵 陽)
解決不能なパレスチナ問題(笈川 博一)
大侵攻前夜のパレスチナ(鵜飼 哲)
アメリカとパレスチナ問題(高橋 和夫)

パレスチナ/イスラエル戦争への視座
-シャロンとアラファトの対決か?

臼杵 陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター)

I.はじめに-1982年レバノン戦争と現在の「戦争」の対照性

II.アフガニスタンからパレスチナ・イスラエル戦争へ

  1. アフガニスタンからパレスチナへ-「9・11」からアメリカによる対テロ戦争へ
  2. シャロン首相の「横領」-イスラエルによる「対テロ戦争」の論理のパレスチナへの適用
  3. 交差しない視座-「守りの盾」作戦と難民キャンプ戦争の対照性

III.オスロ合意とは何だったのか?

  1. オスロ合意の終わりの始まり-2000年7月キャンプデービッド会談から2000年9月第二次インティファーダへ
  2.  1993年9月オスロ合意に基づく和平枠組みの限界-「難問先送り」方式の問題点
  3. 勝者による弱者への平和の押し付け-アラファトとその政治手法の問題性

IV.何故シャロンがイスラエルで支持されるのか?

  1. 誰がオスロ合意の受益者か?-「新中東経済圏」とイスラエルのIT産業
  2. 何故和平ではなく治安?-オスロ合意で「落ちこぼれた人々」への視座
  3. シャロンはシオニズムの鬼子か、あるいは正当な継承者か?-シャロンの修正主義シオニズムと極右の論理の親和性

V.おわりに-オスロ合意は終わったのか?

参考文献

解決不能なパレスチナ問題

笈川 博一(杏林大学教授)

イスラエルの問題点:
滅亡恐怖症候群→過剰な反撃、入植
特殊な歴史感覚→アブラハム契約、ダビデ王国etc.
選挙制度→政治の構造的不安定性
パレスチナの問題点:
ベクトル調整失敗→イスラミスト(=原理主義)の処遇
腐敗構造→ODAの反省
経済政策の不在→中途半端な貧しさ、イスラエル経済との関係
当面解決不能な対立点:
エルサレム→双方の持つ“虚構”
パレスチナ難民
交渉に対する基本的態度→公平な交渉?
アメリカ中東政策のブレ

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オスロ合意の位置づけ その後の交渉と各種合意との関係

出口はあるのか?

大侵攻前夜のパレスチナ

鵜飼 哲(一橋大学教授)

  1. 何が変わったのか?
    1982年から2002年へ
    サブラ・シャティーラからジェニンへ
  2. なぜ行ったのか?
    私の場合
    国際作家会議の作家たちの場合
  3. サカーキーニー文化センターの出会い
    「言葉の崩壊ゾーン」での言葉の再建の試み
    イスラエル軍による文化センターの破壊(4月13日)
  4. ビール・ゼイト大学の現状
    学生たちの抱えている困難
    国際支援の事例
  5. エル・アマリー難民キャンプ
    壁の「穴」の意味するもの
  6. 議長府訪問
    アラファト氏の印象
  7. カサバ劇場の朗読会
    現代パレスチナ喜劇の笑いの質
  8. ガザで見たもの
    キャンプとコロニー
  9. 人権センターでの出会い
  10. 民間使節運動の人々

『アメリカとパレスチナ問題』

高橋 和夫(放送大学助教授)

  1. キャンプデービッド交渉の真相
    「占領地」の95パーセント
    アラファトの指導力の欠如
    タバ交渉
  2. ブッシュの中東政策
    パレスチナ問題を避ける
  3. 9月11日以降の世界
    テロとの戦争
    シャロンの論理
  4. アフガニスタン、イラク、パレスチナ
    対イラク戦争の準備
  5. ブッシュの支持基盤
    キリスト教原理主義
    国防総省の影響力>ウォルフォウイッ、リチャード・パール

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